「電力自由化」カテゴリーアーカイブ

安部総理、海外に向けて市場開放を確約

安倍総理大臣は、「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」と題した論文を英紙『フィナンシャル・タイムズ』(2014年6月29日電子版)に寄稿した。
安部総理はここで、グローバル企業の要望に沿うかのように、エネルギー、農業、医療分野を外資に開放し、働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用を可能にすると確約した。

以下は、原文。

June 29, 2014 12:07 pm
My ‘third arrow’ will fell Japan’s economic demons
Shinzo Abe
There will be no fiscal consolidation without economic recovery, writes Shinzo Abe

Since I introduced a package of measures to revive Japan’s economy, there are three questions I am regularly asked about our country’s prospects. First, people want to know whether I am genuinely committed to the “third arrow” of Abenomics. Make no mistake: I am. Our structural reforms have shifted up a gear this month. We reduced Japan’s corporate taxes by 2.4 per cent this year, and will cut the rate further next fiscal year. We aim to reduce the level of the effective tax rate to the 20s over several years. This will help growth and draw international investors. Strengthening corporate governance is also critical to enhance shareholder value. Continue reading “安部総理、海外に向けて市場開放を確約” »

NPO法人 万年野党の正体─新自由主義者の圧力団体

 NPO法人 万年野党とはいったい何なのか。竹中平蔵、宮内義彦、髙橋洋一、八田達夫、八代尚宏といった名だたる新自由主義者が名を連ねている。モルガン・スタンレーMUFG証券㈱・チーフエコノミストのロバート・フェルドマンも入っている。
 活動内容として、「政策の監視と対案の提示」が挙げられているが、新自由主義に反する政策を監視し、さらなる新自由主義的対案を提示するということなのか。また、国会議員の評価をするというが、これまた新自由主義に忠実かどうかを尺度にして評価するということなのか。なぜわが国の国会議員が外国人に監視されなければいけないのか。
 まさに、万年野党の正体は竹中平蔵を中心とする新自由主義者の圧力団体である、といっていいだろう。
 5月26日に設立記念イベントを行ったというが、その場所がなんとスターライズタワー。ここはパソナが所有する施設だ。

『顔のない独裁者』が描く近未来─新自由主義の結末は地獄だ(『月刊日本』平成26年5月号)

以下、『月刊日本』平成26年5月号に掲載した「『顔のない独裁者』が描く近未来─新自由主義の結末は地獄だ」を転載する。

国民の統合を破壊する道州制
 3月28日、政府は国家戦略特区諮問会議を開き、国家戦略特区の第一弾として、東京都を中心とした東京圏、大阪府を中心とした関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父市、福岡市の6区域を指定した。東京圏は国際ビジネス、イノベーションの拠点、関西圏は医療などのイノベーション、チャレンジ人材支援の拠点とするという。
 この特区も、アメリカが推進するTPPも、グローバル企業の利益拡大こそが最優先されている。しかし、グローバル企業が理想とする社会は国民にとってはまさに地獄そのものである。新自由主義による「改革」を推し進めた後に到来する社会はどのようなものなのか、それを具体的に示してくれるのが、三橋貴明氏の企画・監修で、さかき漣氏が著した『顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い』(PHP研究所)が描く社会である。同書はフィクションだが、極めて具体的かつリアルにわが国の近未来が描き出されている。
 物語は、「顔のある独裁者」が支配する大エイジア連邦の一員となった日本が、抵抗組織「ライジングサン」のリーダー駒ヶ根覚人のもとに革命に成功し、日本を奪還したところからスタートする。駒ヶ根は圧倒的な国民支持を受けて総理に就任する。まず、駒ケ根政権は太平洋連合(Pacific Union=PU)への参加を決める。PUはTPPのような協定と考えていい。そして同政権は道州制を導入。日本は北海道、奥羽州、東京州、越陸州、東海州、中央日本州、瀬戸州、伊予州、筑紫琉球州の9道州に分けられ、それぞれが独立採算制を義務づけられた。道州制導入によって、各種公共サービスの権限は、中央政府から各道州政府に移管された。
 だが、この道州制導入が悲劇をもたらすことになる。それを象徴するのが本書にある「道州制が社会に浸透し、いつの間にか日本国民は他道州の住民について、同じ日本国民であることを忘れるようになっていた」という記述だ。
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悪魔の民営化 コンセッション方式

 平成26年4月9日に、大阪市は水道事業の民営化についての基本方針案を決定したが、『顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い』(三橋貴明氏企画・監修、さかき漣著)には、コンセッション方式(公共インフラの資産保有者は政府のままとし、運営権を民間の株式会社に委譲する方式)の危険性が見事に描き出されている。新自由主義の旗を振る竹中平蔵氏が次のように書いているのを思い出し、さらに恐ろしくなった。
 〈成長戦略のもう一つの柱は、インフラの運営権民間売却、いわゆるコンセッションだ。これについてもいま、実現の方向に向かっている。官が独占しているインフラ運営に民間が参入することで、サービスの中身が向上する。かつ少なくとも数十兆円といった大きな規模で改善に貢献することが期待される。
 コンセッション方式は、海外の主要国で一般に行われているにもかかわらず日本で極端に遅れてきた政策分野だ。例えば欧州の主要空港の多くは、いまや所有形態に関わりなく民間が運営している。オーストラリアの主要空港も、コンセッション方式で民間が運営する。米国でも、シカゴの有料道路の運営権を民間企業に売却し成功している事例が知られている。隣国韓国も、コンセッションに積極的だ。理論的に考えて、キャッシュフローを生むインフラについては、その流列の割引現在価値で、運営する権利を民間に売却することができるはずだ。道路、空港、上水道、下水道などが、コンセッションの対象となる。 Continue reading “悪魔の民営化 コンセッション方式” »

電力自由化がもたらす悲劇

 脱原発を掲げて都知事選に立候補した細川護熙氏と、それを支援する小泉純一郎氏が話題になっているが、細川陣営の田中秀征氏は「電力自由化・原発ゼロ」を掲げるみんなの党を支持してきた人物。
 いま、電力自由化に向けた動きが着実に進められていることに注意すべきなのだ。2014年1月15日、茂木経済産業大臣は、政府が進める電力システム改革について、「限られた供給の中で効率的な電力消費が行われる社会を作りたい」と述べ、政府として新規参入を促し、電力小売りの全面自由化を推し進める考えを示した。
 電力自由化がいかなる状況を招くかはすでに先進国で実証済みだ。英米の電力自由化の問題点を取材したシャロン・ビーダー氏は『電力自由化という壮大な詐欺─誰が規制緩和を望んだか』(草思社、2006年)で次のように指摘している。
 
 「電力自由化が実施された地域の大半では、家庭用、小企業用の電気料金が上がり、それも劇的な値上げとなることもしばしばあった。なかでも、取引市場が整備され、有力な大手電力会社が多数存在する地域で市場操作がおこなわれており、日本でも、ひとたび取引市場が始動すれば、こうした現象が起こらないと考える理由はない。…自由化され、民営化された電カシステムのなかでは、世界的に見ても、サービスと信頼性が低下してきた。というのも、規制下にあった電力会社の負っていたサービス責任が、短期的な営利目標に取って代わられたからである。…競合する民間企業が達成できると思われた効率向上は、多くの場合、短期のコスト削減によってもたらされた。それには、サービスの質やレベルを落とすことも含まれており、より安い費用で同一レベルのサービスを提供するわけではなかった。サービスの料金を値上げすることで投資収益率を上げることもあった。しばしばコスト削減は、従業員にたいする報酬と労働条件の切り下げによって達成され、何千という電気労働者が解雇された。…コスト削減のもうひとつの安易な方法は、近視眼的ではあるものの、安全、保守管理、トレーニング、開発研究などにかかる費用を切りつめることである。古くなった設備でも、定期整備したり、故障が起こるまえに交換したりしない。その結果、事故や設備に関連した停電が増加したし、配送電網の保守点検と開発の計画立案と責任は市場優位性を与えられなかった」

グローバル企業と舛添要一・細川護熙両都知事候補

 グローバル企業にとって、次の都知事が誰になるかは重大な問題である。五輪特需も絡み、国家戦略特区による規制改革の加速化による利益拡大を狙っているからだ。
 彼らにとって最も安全な方法は、どっちに転んでもいいように保険をかけておくこと。都知事有力候補に二股をかけるという戦略だ。舛添要一氏だけではなく、細川護熙氏にも賭けるということだ。つまり、原発問題は重大な争点に違いないが、もっと重大な問題は新自由主義の問題ではないか、
 細川陣営の田中秀征氏が語るところでは、小泉純一郎元首相と細川氏は脱原発を急務とする点で一致したとされる。フィンランドのオンカロ(核廃棄物最終処分場)を見てきた小泉氏に、田中氏が声を掛け、去年10月21日に細川・小泉・田中の3人で会った。脱原発に対する2人の「本気」を感じた、と。
 しかし、小泉氏の狙いは東京での新自由主義路線の推進にあるはずだ。そして、田中氏も?彼は1996年10月の総選挙で落選してからも、「官権」から「民権」への転換を訴え、みんなの党を支持してきたとされる。細川・小泉の掲げる脱原発というスローガンが、エネルギー分野の規制改革、電力自由化路線の推進に利用される危険性がある。