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岩崎行親の国体詩

 大正10年8月に、岩崎行親が夫婦で伊勢神宮に参拝したのをきっかけに、国体の真髄を詩にしようとして成ったのが、国体詩である。後に、北海道で林務官を務めていた塩沢健が、この国体詩に注目し、眼目の部分を抜粋して、吟詠に都合良く、もともと五六句からなる国体詩を二四句に省略して、以下の「国体篇」とした。

 

邈兮二千六百秋 (邈たり二千六百秋)
日東肇国基神籌 (日東国を肇る、神籌に基く)
国体之優風土美 (国体の優、風土の美)
宇内万邦無匹儔 (宇内万邦、匹儔無し)
豊葦原之瑞穂国 (豊葦原之瑞穂国は)
是我子孫君臨域 (是れ我子孫の君たるべき域なり)
行兮爾就而治之 (行兮爾、就てを之を治めせ)
寳祚天壌無窮極 (寳祚は天壌と共に窮極無からん)
神訓炳乎如日星 (神訓炳乎として日星の如し)
施之万世民心寧 (之を万世に施して民心寧し)
三種神器教君道 (三種の神器、君道を教ふ)
伝之無窮帝徳馨 (之を無窮に伝へて帝徳馨し)
我皇神孫無姓氏 (我皇神孫姓氏無し)
日本為家君父比 (日本を家と為し君を父に比す)
億兆斉仰一家君 (億兆斉しく仰ぐ一家の君)
義乃君臣情父子 (義は乃ち君臣情は父子)
欲孝親者須忠君 (親に孝ならん欲する者は須く君に忠なるべし)
欲愛国者須愛君 (国に愛せんと欲する者は須く君を尊ぶべし)
忠孝一致君国一 (忠孝一致君国一なり)
我国憲法存古文 (我国憲法古文を存す)
嗚呼美哉日東君子国 (嗚呼美なる哉日東君子国)
上下同心一其徳 (上下心を同じうして其徳一にす)
嗚呼優哉万世一系君 (嗚呼優なる哉万世一系の君)
列聖相承垂功勲 (列聖相承けて功勲を垂る)

門下の山田準は、「実に先生の赤心と覚悟とが茲に表はれ誠に荘重に且つ国体の要領が此程よく歌はれてゐる詩は殆ど珍しいものであります」と書いている。