「ネオコン」カテゴリーアーカイブ

「アンワールとウォルフォウィッツの知られざる関係 明日のアジア望見 第76回」『月刊マレーシア』500号、2008年11月15日

 マハティール前首相は、新自由主義との戦いの一線に立ってきた。その戦いのピークは、一九九七年のアジア通貨危機に際して起こった国際通貨基金(IMF)とマレーシアとの論争であった。
 マハティールは、IMFが誘導する新自由主義的経済政策の導入を拒否した。その理由の一つは、個人の自由に力点を置く弱肉強食の経済政策がアジア社会になじまないと考えたからである。しかも、マレーシアは中国系住民と比較して経済的に弱いマレー系住民を優遇する「ブミプトラ政策」を継続している。新自由主義の導入は、この社会的安定の根幹である政策の放棄を余儀なくされる可能性があったのである。
 このとき、IMFの要求に前向きに対処していたのが、アンワール・イブラヒム副首相(当時)であった。結局、彼は一九九八年に同性愛容疑で逮捕され、二〇〇二年に、捜査を妨害したとして職権濫用に問われた裁判で有罪が確定した。同性愛裁判については二〇〇四年に連邦裁が無罪判決を言い渡していた。 Continue reading “「アンワールとウォルフォウィッツの知られざる関係 明日のアジア望見 第76回」『月刊マレーシア』500号、2008年11月15日” »

「国体思想に基づいた普遍的価値 明日のアジア望見 第75回」『月刊マレーシア』499号、2008年7月31日

外交において、共通の価値観という言葉が頻繁に語られるようになっている。そこで語られる価値観とは、多くの場合、西洋近代思想に支えられた人権や民主主義という価値観である。
それは、前政権で持て囃された「価値観外交」や「自由と繁栄の弧」に象徴的に示されていた。二〇〇六年一一月三〇日、麻生太郎外相(当時)は日本国際問題研究所セミナーでの講演で次のように語っている。
「第一に、民主主義、自由、人権、法の支配、そして市場経済。そういう『普遍的価値』を、外交を進めるうえで大いに重視してまいりますというのが『価値の外交』であります。第二に、ユーラシア大陸の外周に成長してまいりました新興の民主主義国。これらを帯のようにつなぎまして、『自由と繁栄の弧』を作りたい、作らねばならぬと思っております」、「我が日本は今後、北東アジアから、中央アジア・コーカサス、トルコ、それから中・東欧にバルト諸国までぐるっと延びる『自由と繁栄の弧』において、まさしく終わりのないマラソンを走り始めた民主主義各国の、伴走ランナーを務めてまいります」 Continue reading “「国体思想に基づいた普遍的価値 明日のアジア望見 第75回」『月刊マレーシア』499号、2008年7月31日” »