「馴鮓」カテゴリーアーカイブ

東南アジア料理論⑥

馴鮓
日本の馴鮓(6日目)
では、馴鮓は日本にいかにして伝えられたのだろうか。
日比野光敏氏は、馴鮓は六世紀までに中国から北九州に伝えられたという。
平城京出土の木簡には、馴鮓の記録がある。一九八八年には、奈良市二条大路南一丁目の長屋王邸宅跡一帯から、十万点にのぼる木簡は相次いで発見され、奈良時代の暮らしぶりがかなり解明された。そこで、「長屋王はグルメ!」など注目された通り、当時の貴族たちが大変多彩な食生活をおくっていたがはっきりした。そのメニューの一つに、塩漬のカツオと塩味をつけた飯を交互に重ねて漬けた馴鮓もあった。  続きを読む 東南アジア料理論⑥

東南アジア料理論⑤

馴鮓
スシの起源(5日目)
「スシの起源は東南アジアにある」。そう書いたら、「えっ? スシは日本のオリジナルでしょ?」と即座に反論されるかもしれない。だが、日本のオリジナルはあくまで酢を使った現在のスシ。一六七三年(延宝年間)に四谷の医師、松本善甫が酢を使う「早ずし」を考案したことにはじまるとされているから、せいぜい三百年余の歴史しかない。江戸前のにぎりずしの発祥は江戸、文政年間(一八一八-三〇)のころだから、もっと歴史は浅い。  続きを読む 東南アジア料理論⑤